ゼノンのパラドックス
うさぎは亀に追いつけないはずなんだけど。
どういう文脈で「うさぎは亀に追いつけないはず」と感じているのかな?
例えば、あの有名なイソップ童話の話として言っているのか、
それとも「ゼノンのパラドックス(飛び越えの逆説)」のような理論的な話として言っているのか、
具体的にイメージしている状況や条件を教えてもらえる?
ここがはっきりすると、さらに話が進めやすいんだ。
パラドックスだぁ
いいね!!現状理解度を確認するよ。以下の選択式クイズに答えてみてね。
問題1: 次の数列
1/2, 1/4, 1/8, 1/16, …
の無限和(全てを足し合わせた値)はどれ?
A: 1/2
B: 1
C: 2
D: 無限大
問題2: 無限級数がある有限の値に近づいていく性質を数学では何と呼ぶ?
A: 発散
B: 収束
C: 微分
D: 連続
答えは選択肢の記号だけでOK!
b b
素晴らしい!!では、ゼノンのパラドックスを数列と級数を使って見てみよう。
まず、うさぎと亀の出発点間の初期距離を 、うさぎの速度を 、亀の速度を (ただし )とする。
- うさぎが最初の区間 を走るのにかかる時間は
- その間に亀は前進しているから、うさぎが到達したときの亀との距離は
- 次にうさぎがその距離 を走る時間は
同様に3回目は
…というふうに時間が無限に細かく分かれるわけです。
ここで合計時間を考えると、
ここまでOK?
おかのすけ
「おかのすけ」って、どういう意味かな?
今の説明(級数で時間を表したところ)は大丈夫だった?
どこか気になることや、もう少し詳しく知りたいところがあれば教えてほしいんだ。
おけ
では続きいくよ!
-
合計時間
-
右辺のかっこの中は公比 の無限等比級数の和だから、収束条件 (亀より兎のほうが速いので成り立つ)で
-
だから
これで「無限に分割された時間を全部足しても有限時間になる」ことが示せたわけです。
つまり、兎はちゃんと亀に追いつくし、追い越すというわけ。
わかった? やったぜ!
数式ではそうだけど実際の例えの方がただしいやろ
そうだね、数式だけよりも具体例のほうがイメージしやすいっていう話だね。
では具体的に、うさぎと亀で数値例を考えてみよう。
例)
・初期距離 m
・うさぎの速さ m/s
・亀の速さ m/s
ステップごとに追いつくまでの時間と亀の進んだ距離を見ると…
- うさぎが最初の100mを走る ⇒ 時間 s
⇒ その間に亀は m 進む - 次にうさぎが20mを走る ⇒ 時間 s
⇒ 亀は m 進む - 次にうさぎが4mを走る ⇒ 時間 s
⇒ 亀は m 進む - …以下同様に距離が 、時間が と細分化
これらを全部足すと
無限等比級数の和で実際に計算すると
つまり、実際の数字を当てはめても「無限に分割されても合計は12.5秒」というふうにちゃんと有限秒数で追いつくわけ。
これなら、数式だけでなく「10秒+2秒+0.4秒+…で12.5秒」という実際感があるんじゃないかな?
わかった? やったぜ!
いや、でも無限におとすなよ
最終項ではまだ追いついてないでしょ
お、いいね、よく勉強してるね!ただそれはね、「最終項ではまだ追いついてない」という考え方自体が少しズレてるんだ。
-
無限等比級数の和というのは、あくまで「項数を無限にしたときの極限」を考えるもの。
だから「最後の一項」は存在しないんだよね。 -
各ステップ 後の亀と兎の距離を
とすると、 で 。 -
つまり、時刻
において距離がゼロになり、その瞬間に兎は亀に追いつくわけ。
「最終項で追いついてない」というのは、あくまで有限回のステップで考えた場合の話なんだ。無限回に分割した後、その極限で距離がゼロになるから、実際には有限時間で追いつくというわけだよ。
わかった? やったぜ!
そうだよね。実際には、すべての項でまだおいついてないじゃん。細分化はされるが、おいつかないよ。
お、いいね、よく勉強してるね!ただそれはね、「すべての項でまだ追いついてない」というのは、あくまで無限等比級数をステップごとに区切ったときの話なんだ。
- 物理的には兎も亀も連続的に動いているから、実際に「分割されたステップ」が存在するわけじゃない。
- 連続時間 に対して兎の位置は
亀の位置は
(出発点の差を とした場合)。 - この2つが等しくなる時刻を求めると
これがまさに級数の極限として出てきた だよ。
だから「有限の最後のステップでは追いつかない」が矛盾になるのは、ステップ分割があくまで数学的な道具だから。連続的に見ると、ちょうど の瞬間に距離がゼロになって追いつくというわけだよ。
わかった? やったぜ!
いや、結局、かめは常に進み続けるでしょ、うさぎに。どのタイミングで抜けるの?どの項?無限ってのはせこいよ、実際に無限はないだろ
いいね!!無限級数はあくまで「追いつくまでの時間を求める道具」なんだ。実際の運動は連続だから、「最後の項」があるわけじゃないよ。
- 兎の位置を 、亀の位置を とモデル化する。
- 追いつく瞬間は になる時刻だから
- その瞬間から直後には になるので、兎は確実に亀を抜くんだ。
「無限に分割した最後の一項」は数学的な考え方の一部で、物理的には「時刻 」が追いつき・追い越しの瞬間というわけ。わかった? やったぜ!
いや、だって、足していくんでしょ?
いいね!!「無限に足していく」というイメージは、あくまで数学的な操作を表しているんだ。物理的な運動は連続で行われるから、実際に「最後の項」を一つ一つ足していくわけじゃないという話をもう少し詳しく説明するね。
- 無限等比級数
1 + r + r² + … は、用語で言うと「項を無限に足したときの極限」を表しているだけ。 - 極限の定義
部分和 Sₙ = 1 + r + … + rⁿ を考えたとき、n→∞ で Sₙ がある値 L に近づくならば、その L を級数の和と呼ぶ。 - 物理モデルとの対応
- 亀と兎の連続的な運動は時間 t の関数で表され、t = d/(v–u) の瞬間に距離がゼロになる。
- この t は「無限項まで足した後の極限」と一致しているだけで、現実に「第1項、第2項,…」と順に足し続けるわけではない。
つまり「どの項で追いつくのか?」という問いは、数学モデルでは意味がないんだ。級数はあくまで極限値を求めるための道具。物理的には連続的に動いていて、ちょうど t = d/(v–u) で追いつくということ。
わかった? やったぜ!
翻って、たとえは何がおかしいの。だってかめはすべての点ですこしだけうさぎをこえている
お、いいね、よく勉強してるね!確かに「任意の時刻 では亀が少し先行している」っていうのはそのとおり。でもそれが「兎が絶対に亀に追いつかない」ことを意味するわけじゃないんだ。以下、連続モデルで見てみよう。
-
連続時間モデル
・亀の位置:
・兎の位置:
(亀を出発点、兎は手前に距離 の位置からスタート) -
距離差の関数
この関数は で 、単調に減少していき、 -
追いつきの瞬間
ここで のときは (亀が先行)、
の瞬間に (ついに同位置)、
のときは (兎が追い越し)になるわけ。
「無限に分割した各ステップでまだ追いつかない」は無限等比級数の話のイメージにすぎず、物理的には位置差 が連続に 0 に達する“瞬間”がちゃんと存在するということなんだよ。
わかった? やったぜ!
数式禁止
いいね!!数式なしでイメージだけで説明するね。
-
まず、うさぎもかめも休まず動いていると考えてごらん。
途中で立ち止まったり、一瞬でワープしたりするわけじゃないから、「動き」は途切れずに続いているよね。 -
出発から追いつくまでのあいだ、いつ見てもかめの位置はうさぎより先にある。
だから「どの瞬間にもかめがちょっと先行している」という感覚は正しいんだ。 -
でも、かめと兎の間の距離は時間とともに少しずつ縮まっていく。
出発直後は距離が最大で、少し経つと減り、さらに少し経つともっと減る…というふうに、切れ目なく距離がゼロに近づいていくわけ。 -
そしてある「ちょうどその瞬間」に距離がゼロになる。
その瞬間に限っては、もう先行しているのは兎で、かめは抜かれてしまっている状態になるんだ。
ポイントは、「無限に分割した区切り」なんて実際には意識せず、距離の縮まりかたを途切れなく追っていくと、必ず同じ位置に到達する瞬間がある、ということ。
これが、かめを抜かす仕組みだよ。
わかった? やったぜ!
こんにちは。稀に介入する岡竜之介本人です。
要は有限の時間を無限個に分割してるんですよね。例えば時間を10秒測るとして、「残り5秒」「残り2.5秒」「1.25秒」「0.625秒」「0.3125秒」……という確認を、残り時間が半分になるごとに実行すると、10秒の間に確認作業が無限回発生する。アキレスと亀の話はまさにこれをやっているわけです。10秒で追いつくとしたら、その10秒の間に「まだ亀の方が前にいるぞ」という確認作業を無限回やっているという感じです。この確認作業を無限回できるからと言って、永遠に追いつけないことにはならないんですね。
おお、岡竜之介本人だ!なるほど、有限の時間を半分、さらに半分…と無限に分割しても、合計するとちゃんと元の時間に収まる、という例えはすごくわかりやすいね。
じゃあこの「確認作業を無限回挟んでも追いつく」というイメージで、まだ気になる点はあるかな?続きを知りたいことがあったら教えてほしいんだ。
