電場と荷電粒子の仕事

電磁気学電場仕事エネルギー場のエネルギー密度
電場が荷電粒子に仕事をするとき、荷電粒子は電場に仕事をするの?電場が仕事をされるってどういうこと?
00:31
リュウツー先生
リュウツー先生
なるほど、「電場が荷電粒子に仕事をするとき」「荷電粒子が電場に仕事をするのか」という表現の違いについてですね。
まずはもう少しだけ確認させてください!

・「電場が荷電粒子に仕事をする」というのは、電場が粒子にエネルギーを与えているイメージで合ってますか?
・一方で「荷電粒子が電場に仕事をする」という言い回しに対して、どこがどう引っかかっているのか、具体的に教えてもらえる?

このあたりがはっきりすると、その先の説明がスムーズになるので、ぜひ教えてください!
00:31
・合ってる
・電場が仕事をされるってことは、電場が力を受けるってこと?でも力って質量✕加速度だから、電場に質量があって加速度運動するってこと?それとも運動量の時間変化?電場が運動量を持つの?
00:46
リュウツー先生
リュウツー先生
いいね!!それでは理解度を確認するためにクイズを出します。

① 点電荷 qq が一様な電場 E\mathbf{E} に沿って移動し、電場が荷電粒子に正の仕事 WW をした。
 このとき、エネルギー保存の観点から「電場の持つエネルギー」はどう変化するか?
 A: 減少する
 B: 増加する
 C: 変化しない

② 電場に蓄えられるエネルギーの正体として最も正しいものはどれか?
 A: 電場が質量を持って加速度運動することでエネルギーを蓄える
 B: 電場強度 E\mathbf{E} の大きさに応じ、場の空間にエネルギーが分布して蓄えられている
 C: 蓄えられるエネルギーはすべて荷電粒子(電荷)が持っている

選択肢の記号で答えてください!
00:47
1 A
2 A
01:07
リュウツー先生
リュウツー先生
お、いいね、よく勉強してるね!
ただそれはね、「電場が質量をもって加速度運動する」という考えは今回の場合には合わなくて、電場は物体のような質量を持たないんだ。

電場のエネルギーは、場の強度E\mathbf{E}の大きさに応じて空間に分布して蓄えられるわけ。具体的にはエネルギー密度
u=ε02E2 u = \frac{\varepsilon_0}{2}E^2
として、全体のエネルギーは
U=全空間udV U = \int_{\text{全空間}} u\,dV
で表されるんだ。

だから「電場が仕事をされる」というのは、荷電粒子(またはそれを動かす外力)が電場のエネルギーを増減させる、すなわちこの UU を変化させることを指しているわけ。

場と粒子間の仕事は、
Wfield→charge=qEdx,Wcharge→field=Wfield→charge W_{\text{field→charge}} = \int q\mathbf{E}\cdot d\mathbf{x},\quad W_{\text{charge→field}} = -W_{\text{field→charge}}
という符号関係でエネルギーのやり取りを表すんだよ。

わかった? やったぜ!
01:08
そうなんだ。じゃあ電場の運動量は?
10:53
リュウツー先生
リュウツー先生
いいね!!またいい質問だね。

電場だけ――つまり純粋な静電場(磁場 B=0B=0)では、運動量密度はゼロだよ。
電磁場全体として運動量を持つのは、電場 EE と磁場 BB が交わったときなんだ。

具体的には「運動量密度」g\mathbf{g} を次のように定義する:
g=ε0E×B \mathbf{g} = \varepsilon_0\,\mathbf{E}\times\mathbf{B}
ここで ε0\varepsilon_0 は真空の誘電率。
全空間でこれを積分すると、電磁場が持つ「全運動量」Pfield\mathbf{P}_\text{field} が得られる:
Pfield=全空間gdV \mathbf{P}_\text{field} = \int_{\text{全空間}} \mathbf{g}\,dV

純粋な電場(B=0B=0)なら g=0\mathbf{g}=0、だから運動量はない。
電場の変化に伴って磁場が生まれ、その E×BE\times B の組み合わせで初めて電磁場は運動量を持つわけだよ。

ここまではいい?
10:53
全然イメージわかないけどとりあえず受け入れる。荷電粒子が電場から力をうけて加速してとき、逆に電場はその反作用を受けてそのε_0ExBという運動量を持つわけ?
21:39
リュウツー先生
リュウツー先生
お、いいね!荷電粒子が電場から力を受けて加速するとき、必ず「反作用」があって、場がその分の運動量を背負うんだ。ポイントはこういうこと:

1. 純粋な静電場(B=0)の場合
これは運動量密度 ε0E×B \varepsilon_0\,\mathbf{E}\times\mathbf{B} がゼロだから、場は運動量を持たない。逆に言うと、静電場だけでは反作用の「場への運動量移転」は起こらない。

2. 時間変化する荷電粒子/加速する電荷の場合
電荷を加速すると、その近傍の電場が変化して「磁場」も発生する。すると
g=ε0E×B \mathbf{g} = \varepsilon_0\,\mathbf{E}\times\mathbf{B}
という運動量密度が生まれるわけだ。この g\mathbf{g} を全空間で積分すると、場が持つ運動量が得られて、粒子の運動量変化とぴったり釣り合う。

3. 放射(電磁波)による場合
加速電荷は電磁波を放射し、その電磁波自体がエネルギーと運動量を運ぶ。これも S=1μ0E×B\mathbf{S} = \frac{1}{\mu_0} \mathbf{E}\times\mathbf{B}(ポインティングベクトル)として見れば、波が運ぶ運動量密度 g=S/c2\mathbf{g} = \mathbf{S}/c^2 となって、全体の運動量保存を保証するんだ。

まとめると、「電場だけ」では運動量を持たないけど、荷電粒子を加速して場が時間変化するときに磁場と組み合わさり、ε0E×B\varepsilon_0\,E\times B の形で場が運動量を持つ。これが荷電粒子への反作用としての運動量移転を担っているわけ。

わかった?やったぜ!
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