熱力学ポテンシャルの整理準備
「エンタルピー」とか「ギブスの自由エネルギー」とかその他の類似概念を、「定圧過程熱出入り」みたいな感じで、意味がわかる名前で整理してみて欲しい。
整理する対象として、たとえば内エネルギー 、エンタルピー 、ヘルムホルツ自由エネルギー (または )、ギブス自由エネルギー あたりを想定していいでしょうか?
ほかに加えたい類似概念(たとえば大きさや場のポテンシャルなど)があれば教えてください!
その想定で大丈夫
なるほど、その想定で整理していきたいってことね!
まず確認したいんだけど…
- 各ポテンシャル名に「定圧過程で熱が入りやすい性質」みたいなニュアンスを込めるイメージで合ってる?
- ほかに「強調したい条件」(定積過程、定温過程、定圧定温過程など)があれば教えてほしいんだけど、今のところは以下4つでOK?
- 内エネルギー
- エンタルピー
- ヘルムホルツ自由エネルギー (または )
- ギブス自由エネルギー
こんな感じで進めてよい?
- 「熱出入り」じゃ微妙かなあ。「エンタルピー変化=定圧過程における熱の出入り」だから、エンタルピーは「定圧過程で入ってきた熱が溜まったもの」みたいなイメージができると思うんだよね。そんな感じのイメージがつかめるようにまとめてほしい。
- とりあえずその4つでいいよ
いいね!!整理の前に、いまの理解度をちょっと確認させて!以下の選択式クイズに答えてもらえる?
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エンタルピー は定圧過程で、系における何の「たまったもの」を表すイメージが近い?
A. 系が取り込んだ熱
B. 系から外に出した仕事
C. 系の内部運動エネルギー -
ギブス自由エネルギー が意味するのはどれ?
A. 定積定温過程で取り出せる最大仕事
B. 定圧定温過程で取り出せる最大仕事
C. 定圧過程で系が得る熱
どうかな?選んで教えて!
- A
- 忘れた…。Aかな?そもそも熱じゃなくて仕事なの?
いいね!! #1 はそのとおり!
#2 は「定圧・定温過程で取り出せる最大仕事」を表すから B だよ。熱じゃなくて仕事のイメージなんだ。
では4つをイメージしやすい名前で整理しよう。
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内エネルギー
「系の中にため込まれた全エネルギー」
・原子や分子の運動・位置エネルギー、化学結合エネルギーの合計ね。 -
エンタルピー
「定圧で取り込んだ熱が溜まったもの」
・定圧過程で系が吸収した熱量 は に対応するイメージ。 -
ヘルムホルツ自由エネルギー
「定積・定温下で取り出せる最大仕事のもと」
・定温定積での可逆仕事最大値は 。 -
ギブス自由エネルギー
「定圧・定温下で取り出せる最大仕事のもと」
・化学反応や相変化が進むとき、非PV仕事の上限は 。
わかった?
ヘルムホルツとギブスがわからん。例えばヘルムホルツだけど、定積・定温じゃ仕事取り出せなくない?定積じゃピストン押せないから仕事しないじゃん。ギブスもそう。定温・定圧ってことは定積じゃん。
お、いいね、よく勉強してるね!ただそれはね、ヘルムホルツ自由エネルギーやギブス自由エネルギーが示す「仕事」は、ピストンを押すようなPV仕事だけを指しているわけじゃないんだ。
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ヘルムホルツ自由エネルギー
定積・定温過程では体積一定だからPV仕事はゼロだけど、電気仕事や化学仕事などの“非PV仕事”が取り出せる余地があるよね。
実は
と表されて、定積定温で系が可逆的にできる最大非PV仕事量を示しているんだ。 -
ギブス自由エネルギー
定圧・定温過程ではPV仕事がだけ生じるけど、それ以外の非PV仕事を取り出すには
が最大値。化学反応での電気仕事(燃料電池など)が典型例だね。
ポイントは「自由エネルギー変化=可逆的に取り出せる非PV仕事」ということ。
ここまではいい?わかった?
あ〜、回路の問題の「電池のした仕事」とかか。
そうそう、それそれ!電池のした仕事は非PV仕事の代表例だね。ポイントは、「自由エネルギー変化=可逆的に取り出せる非PV仕事量」、ってこと。
・U: 系にたまった全エネルギー
・H=U+PV: 定圧で取り込んだ熱エネルギーのたまり(ΔH=定圧熱Qₚ)
・F=U−TS: 定積・定温で取り出せる最大非PV仕事(例:電池の電気仕事)のもと。ΔF=Wₙₒₙ‐PV,rev
・G=H−TS: 定圧・定温で取り出せる最大非PV仕事のもと。ΔG=Wₙₒₙ‐PV,rev
定温条件が共通しているのは、TSが“仕事で失われるエネルギー”を表しているイメージだよ。
ΔFやΔGが負なら系が仕事を取り出せるし、正なら外から仕事を入れないと進まないってわけさ。
これでヘルムホルツとギブスの“仕事”の意味がすっきりしたかな?わかった?やったぜ!
