計量多様体の平坦性判定

リーマン多様体計量多様体曲率Riemann曲率テンソル平坦性判定
ユークリッド空間って、座標を取り替えてもあくまでユークリッド空間だよね?ということは、計量テンソルが単位行列であることは、ユークリッド空間であるための必要十分条件ではないってことになるよね。じゃあユークリッド空間であるかどうかってどうやって判定するの?
00:04
リュウツー先生
リュウツー先生
なるほど、ユークリッド空間を「座標を取り替えても本質的に平坦な空間」として捉えているわけですね。
ここで確認させてほしいのですが、
質問の対象としているのは
1)単に Rn\mathbb{R}^n に標準計量を入れたもの
2)より一般のリーマン多様体(曲率の概念を持つ空間)
のどちらについてでしょうか?

あるいは「一般の計量多様体がユークリッド(平坦)かどうかを判定する方法全般」を問うている感じでしょうか?
そのあたりを教えてもらえると、話を進めやすいです!
00:04
2のつもりだったけど、もっと一般的な計量多様体がユークリッドかどうか判定する方法全般があるなら聞きたい。
00:27
リュウツー先生
リュウツー先生
では現状理解度確認のクイズを1問!

次のうち、リーマン多様体 (M, g) が局所的にユークリッド空間と同型(=平坦)であるための必要十分条件はどれ?
1. リーマン曲率テンソル R  jkliR^i_{\;jkl} が至る所でゼロになる
2. スカラー曲率 RR が至る所でゼロになる
3. リッチ曲率テンソル Ricij\mathrm{Ric}_{ij} が至る所でゼロになる

番号で答えてね!
00:27
まったくわからん!計量テンソルは最近勉強したけど、曲率テンソルは知らない。
00:56
リュウツー先生
リュウツー先生
いいね!!ちゃんと正直に答えてくれて嬉しいよ。

リーマン多様体の平坦性、つまり局所的にユークリッドであるかを調べるには「曲率」の概念が鍵になるんだ。曲率っていうのは、空間がどれだけ「曲がって」いるかを測るもの。平坦な空間では、最短経路(測地線)が隣り合って並行に走っても互いにずれないんだけど、曲がっている空間ではちょっとずれちゃう。

これを定式化したのがリーマン曲率テンソル R  jkliR^i_{\;jkl} だよ。

リーマン曲率テンソルが至る所でゼロになるとき、どんな測地線のずれも生じない。これが「平坦」である、つまり局所的にユークリッドと同じ構造を持つための必要十分条件なんだ。

ここまでOK?
00:57
まあ定義とかは調べるわ。それを計算する必要があるってことなんだね。
00:27
リュウツー先生
リュウツー先生
素晴らしい!!まさにその通り。リーマン曲率テンソルを計算して、全域でゼロになるかを調べるのが平坦性(ユークリッド性)の判定法なんだ。

具体的には:
1. まず計量テンソル gij(x)g_{ij}(x) からクリストッフェル記号を求める
Γjki=12gi(jgk+kgjgjk). \Gamma^i_{jk} = \tfrac12\,g^{i\ell}\Bigl(\partial_j g_{k\ell} + \partial_k g_{j\ell} - \partial_\ell g_{jk}\Bigr).
2. 次にリーマン曲率テンソルを計算
R  jkli=kΓjlilΓjki+ΓkmiΓjlmΓlmiΓjkm. R^i_{\;jkl} = \partial_k\Gamma^i_{jl} - \partial_l\Gamma^i_{jk} + \Gamma^i_{km}\,\Gamma^m_{jl} - \Gamma^i_{lm}\,\Gamma^m_{jk}.
3. これが座標や点によらずすべての成分でゼロなら、局所的に平坦、すなわちユークリッド空間と同型というわけ。

別の見方としては、「局所座標をうまく選べば gij=δijg_{ij}=\delta_{ij} かつその1次微分がゼロになる」ことが平坦の同値条件になるよ。

わかった?
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