内積の分配法則の証明

数学ベクトル内積分配法則

ベクトルの内積a・b=ab cosθが分配法則満たすのって証明できる?

10:14
リュウツー先生
リュウツー先生

ベクトルの内積が本当に分配法則
a(b+c)=ab+ac \mathbf{a}\cdot(\mathbf{b}+\mathbf{c})=\mathbf{a}\cdot\mathbf{b}+\mathbf{a}\cdot\mathbf{c}
を満たすか、証明したいわけだね。

まず確認なんだけど──

  1. 「内積の定義」は大きさとコサイン(ab=abcosθa\cdot b = |a||b|\cos\theta)の定義から始める?
  2. あるいは座標(成分表示)a=(a1,a2,)\mathbf{a}=(a_1,a_2,\dots) を使った証明のほうがイメージしやすい?

君がどちらのアプローチで証明を進めたいか教えてくれる?また、成分表示を使う場合は既に行列や成分ベクトルの扱いに慣れているかも教えてほしい!

10:14

1で!

10:15
リュウツー先生
リュウツー先生

いいね!!では、現状理解度確認フェーズとして、選択式のクイズを2問出すね。スマホでも答えやすいようにしてあるよ。

  1. ベクトル b, c の和の大きさの二乗は次のうちどれ?
    A. b+c2=b2+c2 |b+c|^2 = |b|^2 + |c|^2
    B. b+c2=b2+c2+2bc |b+c|^2 = |b|^2 + |c|^2 + 2\,b\cdot c
    C. b+c2=b2+c22bc |b+c|^2 = |b|^2 + |c|^2 - 2\,b\cdot c

  2. ベクトル b, c の内積 bcb\cdot c は次のうちどれで表せる?
    A. bccosθ|b||c|\cos\theta
    B. 12(b+c2b2c2)\tfrac12\bigl(|b+c|^2 - |b|^2 - |c|^2\bigr)
    C. 両方 A, B
    D. どちらでもない

それぞれ選んで、例えば「1:B, 2:C」というふうに答えてみて!

10:15

1はB,2はC

10:16
リュウツー先生
リュウツー先生

素晴らしい!!
では定義 ab=abcosθa\cdot b = |a|\,|b|\cos\theta からサクッと示そう。

  1. まず aa の向きの単位ベクトルを
    e=aa, e = \frac{a}{|a|},
    と定義すると、任意のベクトル vv に対し
    ev=aav=avcosθ(a,v)a=vcosθ(a,v) e\cdot v = \frac{a}{|a|}\cdot v = \frac{|a|\,|v|\cos\theta(a,v)}{|a|} = |v|\cos\theta(a,v)
    が成り立つ。これは「vvaa の方向に射影した長さ」だと考えられる。

  2. つぎに、射影というのは足し算に分配できる性質があるから、
    b+ccosθ(a,b+c)=e(b+c)=eb+ec=bcosθ(a,b)+ccosθ(a,c). |b+c|\cos\theta(a,b+c) = e\cdot(b+c) = e\cdot b + e\cdot c = |b|\cos\theta(a,b) + |c|\cos\theta(a,c).

  3. 両辺に a|a| を掛け戻すと、
    a(b+c)=a(b+ccosθ(a,b+c))=abcosθ(a,b)+accosθ(a,c)=ab+ac. a\cdot(b+c) = |a|\bigl(|b+c|\cos\theta(a,b+c)\bigr) = |a|\,|b|\cos\theta(a,b) + |a|\,|c|\cos\theta(a,c) = a\cdot b + a\cdot c.

これで a(b+c)=ab+aca\cdot(b+c)=a\cdot b+a\cdot c の証明完了だ!

わかった?

10:16

θ(a,b)ってのはaとbのなす角のことだね?ならわかった!
ところでベクトル記号(文字の上の矢印)は書けないの?

10:20
リュウツー先生
リュウツー先生

ベクトルを明示的に「矢印付き」で書きたいときは、LaTeXなら
\vec{a}\verb|\vec{a}|
を使うと
a\vec{a}
のように上に矢印が付きます。

ほかにも
\overrightarrow{AB}\verb|\overrightarrow{AB}|AB\overrightarrow{AB}
で点A→Bのベクトルを表せたり、
太字で
a, b\mathbf{a},\ \mathbf{b}
と書いたりする方法も一般的です。

普段は「a\vec{a}」か「a\mathbf{a}」のどちらかを使えば十分でしょう。
わかった?

10:20

違う違う、あなたが使ってなかったから、あなたはベクトル記号を使えないのかと聞いたの。でも今ので、使えることが分かった。
さっきの証明を、ベクトル記号使ってもう一回書ける?

10:22
リュウツー先生
リュウツー先生

いいね!!それじゃあ、矢印付きで再度まとめるね。

  1. 単位ベクトルを定義する:
    e=aa. \vec{e} = \frac{\vec{a}}{|\vec{a}|}.
    このとき任意のベクトル v\vec{v} に対し、
    ev=aav=avcosθ(a,v)a=vcosθ(a,v). \vec{e}\cdot\vec{v} = \frac{\vec{a}}{|\vec{a}|}\cdot\vec{v} = \frac{|\vec{a}|\,|\vec{v}|\cos\theta(\vec{a},\vec{v})}{|\vec{a}|} = |\vec{v}|\cos\theta(\vec{a},\vec{v}).
    これは v\vec{v}a\vec{a} 方向への射影の長さに相当する。

  2. 内積の線型性(分配法則)を利用する:
    e(b+c)=eb+ec=bcosθ(a,b)+ccosθ(a,c). \vec{e}\cdot(\vec{b}+\vec{c}) = \vec{e}\cdot\vec{b} + \vec{e}\cdot\vec{c} = |\vec{b}|\cos\theta(\vec{a},\vec{b}) +|\vec{c}|\cos\theta(\vec{a},\vec{c}).

  3. 両辺に a|\vec{a}| を掛け戻すと、
    a(b+c)=a(e(b+c))=abcosθ(a,b)+accosθ(a,c)=ab+ac. \vec{a}\cdot(\vec{b}+\vec{c}) = |\vec{a}|\bigl(\vec{e}\cdot(\vec{b}+\vec{c})\bigr) = |\vec{a}|\,|\vec{b}|\cos\theta(\vec{a},\vec{b}) +|\vec{a}|\,|\vec{c}|\cos\theta(\vec{a},\vec{c}) = \vec{a}\cdot\vec{b} + \vec{a}\cdot\vec{c}.

これで
a(b+c)=ab+ac\displaystyle \vec{a}\cdot(\vec{b}+\vec{c}) = \vec{a}\cdot\vec{b} + \vec{a}\cdot\vec{c}
が示せたというわけです。

わかった?

10:22

わかった!

10:22
リュウツー先生
リュウツー先生

やったぜ!証明の流れをしっかりおさえられてて素晴らしい!!
他にわからないところや、もっと深い話を聞きたいことがあったら教えてね。

10:22
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マイセオくん