電場エネルギー密度の自己エネルギーと相互エネルギー

電磁気学エネルギー密度自己エネルギーポテンシャルエネルギー発散問題
電場のエネルギー密度の理屈がわかりません。電場があるだけでエネルギーがあるわけなくない?
18:07
リュウツー先生
リュウツー先生
電場のエネルギー密度について、しっかり理解していきたいね!
まず、どこまでを聞きたいかハッキリさせようか。

1. 「電場のエネルギー密度」というと、
たとえば
u=ε0E22u = \frac{\varepsilon_0 E^2}{2}
の式の話をしている?それとも電場がエネルギーをもつという概念全般?

2. 現在、学校の授業や参考書で
どんな説明を見た?
「コンデンサーのエネルギーから導出する方法」なのか、
「マクスウェル方程式から一般化する方法」なのか教えて。

3. 数式の導出過程が知りたい?
あるいは「なぜ電場だけでエネルギーを持つのか」の
物理的直観・イメージがつかめない?

これらについて教えてもらえると、ピンポイントで説明できるよ!
18:07
その式のことです。その式だと、空間中に点電荷が1つあるだけで、そのuを全空間で積分したら、正のエネルギーがあることになるよね?
18:14
リュウツー先生
リュウツー先生
いいね!!
次に、君がどこでつまずいているか確認させてほしい。

以下のうち、今一番「分からない!」と感じているポイントを選んで教えてくれる?

① 点電荷モデルにおいて、u=ε0E22u=\frac{\varepsilon_0E^2}{2} を全空間で積分すると無限大に発散する理屈
u=ε0E22u=\frac{\varepsilon_0E^2}{2} という式そのものの物理的意味づけ
③ 発散した「無限大エネルギー」を現実にどう扱うか
④ その他(具体的にコメントで)
18:15
4 点電荷が1個あるだけでは、位置エネルギーGQq/rが発生しないよね?それとの兼ね合いがわからん。
18:20
リュウツー先生
リュウツー先生
いいね!!選択のポイントがはっきりしたね。

電場のエネルギーを全空間で積分すると、点電荷1個のときは「自己エネルギー」が出てきて発散してしまうわけ。

1) 自己エネルギーの発散
点電荷qqの電場は
E(r)=q4πε0r2r^E(r)=\frac{q}{4\pi\varepsilon_0\,r^2}\hat r
だから
Uself=udV=0ε0E224πr2dr=q28πε001r2drU_{\rm self} \\ =\int u\,dV \\ =\int_0^\infty\frac{\varepsilon_0E^2}{2}\,4\pi r^2dr \\ =\frac{q^2}{8\pi\varepsilon_0}\int_0^\infty\frac{1}{r^2}dr \\ \to\infty
となり、無限大に発散する。

2) 相互エネルギーとしての位置エネルギー
二つの点電荷q1,q2q_1,q_2がある場合、全電場E=E1+E2E=E_1+E_2を入れると
U=ε02(E1+E2)2dV=Uself1+Uself2+ε0E1E2dV.U \\ =\int\frac{\varepsilon_0}{2}(E_1+E_2)^2dV \\ =U_{\rm self1}+U_{\rm self2} \\ +\varepsilon_0\int E_1\cdot E_2\,dV.
ここで自己エネルギーは発散するけど、交差項だけ取り出すと
ε0E1E2dV=q1q24πε0r\varepsilon_0\int E_1\cdot E_2\,dV=\frac{q_1q_2}{4\pi\varepsilon_0\,r}
となり、これが馴染みのあるポテンシャルエネルギーV=q1q24πε0rV=\displaystyle\frac{q_1q_2}{4\pi\varepsilon_0r}に対応するんだ。

つまり、点電荷1個では“自己”の無限大エネルギーしかなく、位置エネルギー(相互作用エネルギー)は二つ以上の電荷がそろって初めて現れるというわけです。

ここまでOK?
18:20
OK
18:20
リュウツー先生
リュウツー先生
やったぜ!
18:20
違う違う「ここまでOK?」ってきくからOKって言っただけ。続きがあるんじゃないの?
18:21
リュウツー先生
リュウツー先生
いいね!!
では続きいくよ。

3) 点電荷を半径RRの球状分布で考えると
自己エネルギーは有限で
Uself=Rε0E224πr2dr=q28πε0R,U_{\rm self} \\ =\int_R^\infty\frac{\varepsilon_0E^2}{2}4\pi r^2dr \\ =\frac{q^2}{8\pi\varepsilon_0R}\,,
となる。R0R\to0\to\inftyになるのが、点電荷モデルの“あだ”なんだ。

4) 実際の物理では、自己エネルギーは定数(無限大)のオフセットなので
エネルギー差を見るときは気にしない。
例えば「2つの電荷を無限遠からr r まで近づけるのに必要な仕事」は
自己エネルギーの差はゼロだから、交差項だけが残って
W=q1q24πε0r,W=\frac{q_1q_2}{4\pi\varepsilon_0r}\,,
つまり位置ポテンシャルエネルギーとして扱われるわけ。

まとめると、
u=ε0E22u=\frac{\varepsilon_0E^2}{2}を全空間積分すると自己エネルギーが発散
・でもこの無限大は基準値なので物理的差分(相互作用)を考えると消える
・残る交差項が電荷間のポテンシャルエネルギーに対応

これで電場のエネルギー密度と位置エネルギーの兼ね合い、つかめたかな?
わかった?
18:21
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