光合成での最適波長スペクトル

光合成波長植物プランクトンLED栽培効率
光合成において、青色光と赤色光の吸光度は高く、緑色光の吸光度は低いですよね。
でも、吸光後に光子が持つエネルギーを利用する効率については、青色光では光合成に使われる比率が低く、熱として無駄になるため、利用効率は低いです。さらに、無駄になった熱は、生体へダメージを与えることが知られています。
ということは、人工光で植物を育てる際は、吸光度の面からも、利用効率と生体へのダメージの面からも、赤色光単色が良いということになりますか?
10:28
リュウツー先生
リュウツー先生
まず、もう少しだけお聞きしたいんだけど……
人工光を使って植物を育てる際、具体的に何をいちばん重視したい?
例えば
・成長速度(バイオマスの増加率)
・最終的な収量(収穫量)
・品質(栄養成分や見た目)
・省エネ(投入エネルギーあたりの光合成効率)
など、目的によって最適な光スペクトルは変わるからね。

それと、どんな植物種(葉物野菜、果菜類、観葉植物など)を想定してるかも教えてくれる?
このへんがハッキリすると、よりピンポイントで答えやすくなるんだ。よろしく!
10:28
想定しているのは、単細胞の植物プランクトンです。
重視したいのは、成長速度(一定の容積をもつ培養容器の中で、植物プランクトンの個体数が増加する速度)です。
10:33
リュウツー先生
リュウツー先生
いいね!!それじゃあ、現状理解度確認フェーズとしてクイズを2問出します。スマホでも答えやすいよう選択式にしたから、考えてみてね。

1. 光子1つあたりのエネルギーEEE=hcλE=\frac{hc}{\lambda}で表されます。この式から考えると、波長450nm(青色光)と680nm(赤色光)では、どちらの光子1つのエネルギーが大きい?
 A. 青色光(450nm)
 B. 赤色光(680nm)
 C. 同じ
 D. わからない

2. 同じ総エネルギーを投じたとき、得られる光子の個数が多いのはどちら?
 A. 青色光(450nm)
 B. 赤色光(680nm)
 C. 同じ
 D. わからない

この2問に答えてもらえれば、君の理解度がつかめるよ!どうぞ。
10:33
1. A
2. B
10:34
リュウツー先生
リュウツー先生
素晴らしい!!両方正解だね。

赤色光単色は確かに吸収効率が高く,量子収率(光子1つ当たりの光合成効率)も良いので,省エネには優れるっていう話なわけです。外部からの過剰な熱ダメージも少なく,培養液の温度管理がラクになるメリットもあるんだ。

しかし,赤単色だけだと光化学系I(PSI)と光化学系II(PSII)の活性バランスが崩れやすく,電子伝達鎖が滞ってしまうことがあるんだよね。さらに,青色光は光受容体(クリプトクロムやフォトトロピンなど)を通じて,クロロフィルや光化学系タンパク質の発現を誘導したり,葉緑体の形態形成を促したりする作用がある。単細胞プランクトンでも,ほどよく青光を混ぜることで成長速度が最大化するケースが多いっていう研究結果が報告されているんだ。

──まとめると──
赤単色LEDはエネルギー効率・熱管理の面で魅力的だけど,電子伝達と遺伝子発現制御のバランスを取るには,赤:青=おおむね4:1~9:1程度の混合スペクトルがよく使われるわけです。プランクトン種によって最適比は異なるから,赤主体+少量の青で試してみるのがオススメだよ。

わかった?
10:34
やはりバランスよく赤色光と青色光を混ぜることが適切なのですね。
わかりました、ありがとうございます。

それでは、さらに緑色光を加える場合、バランスはどの程度の比率が適切ですか?
ただし、緑色光については吸光度が低いものの、光源から出て培養容器内を通る光(青色光、赤色光、緑色光)はすべて培養容器内の植物プランクトンに吸収されるものとします。
10:42
リュウツー先生
リュウツー先生
緑色光を入れるメリットは、水中や高細胞密度での透過性が高く、光化学系への光分布を均一化できる点です。一方で吸光度が低いぶん投入量は抑えめにするのが一般的です。

──おすすめスペクトル比──
赤:青:緑=75:15:10(%比)

具体的には
• 赤色光(680 nm前後) …75 %
• 青色光(450 nm前後) …15 %
• 緑色光(520 nm前後) …10 %

──理由──
1) 電子伝達のバランス保持
赤:青を4~5:1程度にするとPSII/PSIの活性バランスがよく、緑を10 %程度混ぜるとさらに電子伝達がスムーズになる。
2) 光分布の均一化
緑色光は細胞や懸濁液を透過しやすく、培養容器の奥まで届く。
3) 熱・エネルギー効率
各色の量子収率(青≈0.65、緑≈0.75、赤≈0.90)を考慮しても、10 %程度の緑はトレードオフが良好。

──運用のヒント──
1. まずは赤:青:緑=75:15:10で走らせ、成長速度を測定。
2. 緑色光を増減(5→15 %)して、バイオマス増加に与える影響を定量的に評価。
3. 最終的には種や細胞密度に応じて、緑を5~20 %の範囲でチューニングするとベター。

これで培養容器内の個体増殖速度が最大化しやすくなるはずだよ。やったぜ!
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